「みなさん、レム睡眠もノンレム睡眠も、同じ睡眠というので、仲間のように思ってらっしゃるんですが、全く違うんです。ノンレムの深い睡眠は、前にもお話ししたかもしれませんけれども、大脳が大きく進化した動物に初めて出てきたものです。砂時計型といいまして、最初のうちにガーッととって、必要な分がとれれば、砂時計が全部落ちたみたいに後は出てこなくなる、そういう睡眠なんです。一方、レム睡眠は、原始的な睡眠。体内時計の周期で決まっているんですよ。だから90分置きくらいに結構規則正しく出て、なおかつ、明け方から午前中にかけて一番増える」

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 なお、何度か三島さんも述べていた「徐波睡眠」というのは、この「深い睡眠」のことである。脳波が2ヘルツ以下(1秒間に2回以下)のゆっくりした脳波が主体となる状態で、いかにも「深い睡眠」というかんじがする。

 では、この「深い睡眠」がどれだけ取れるか、また中途覚醒なくじっくり眠れるかが「よい睡眠」の尺度になりうるかというと、どうもそうはいかないらしい。

「例えばですね、高齢者に特殊な薬を飲んでもらうと、若者並に深い睡眠が増えるんですよ。これが睡眠を改善するかもしれないという理論に基づいて、投与した海外の研究者がいたんですが、たしかに、脳波は徐波睡眠が増えたんです。つまり深い睡眠です。これはしめしめと私は思いました。でも、実際には評判が悪くて。朝起きた時に、『ぐっすり眠れたか』と聞くと、『全然眠れなかった』と答えたというんです」

 そんなわけで、今のところ、「よい睡眠」の絶対的な指標はないと思っていた方がよいらしい。

 朝すっきり目覚められて、日中に眠くならず、パフォーマンスがよい、という主観的な判断になる。もっとも、そういう人は、きっと睡眠について深く思い悩んだりしないだろうとも思うのだが。

 もっとも、日中のパフォーマンスは、ある程度測定できる。

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