第7話(最終話) 新たな「愛と青春の旅立ち」へ

その5  プレカンブリアンエコシステムラボ、誕生

前回まで:「深海における太古の生命活動を解き明かす」という難テーマに挑むため、微生物学者(高井さん)、地質学者、化学者といった分野を超えた研究者が集まってプロジェクトを立ち上げました。プロジェクトは無事に助成を獲得、協力してくれる研究者も増えつつありました。


JAMSTEC「第1回分野横断研究アウォード」の助成を勝ち取り、2004年12月から始まったボク達のウルトラエッチキューブリンケージ研究は、おおむね順調に進んでいた。

ウルトラエッチキューブリンケージとは、深海において「最古の持続的生命が誕生、繁栄した場とその成り立ち」を記述する仮説で、“超マフィック岩から水素が生まれ、その水素と熱水活動によって最古の微生物生態系が成り立っている”とするものだ。

最初に掲げた二つの研究目標の一つ、「中央インド洋海嶺かいれいフィールドの近傍に、超マフィック岩の存在を突き止め、現世地球におけるウルトラエッチキューブリンケージを証明せよ」ミッションは大成功を収めていた。かいれいフィールドの他にも、大西洋中央海嶺レインボーフィールドにおいてもウルトラエッチキューブリンケージを証明することができた。

陰で支えてくれた地震学者

しかし、もう一つの目標、原始地球におけるウルトラエッチキューブリンケージを実験室内に再現する研究は、予想以上に困難なミッションであることがわかりつつあった。たかだか2年とちょっとという、このプロジェクトの助成期間内にはどうやら完遂できそうになかった。

とはいえ、原始地球におけるウルトラエッチキューブリンケージの実験室内再現こそ、初期地球や生命の関わりを直接的に研究する切り札である以上、このまま中途でやめるわけにはいかなかった。