「私の故郷も雪国ですが、近年は、降る雪の量が少ないんですよ」

 と、言うと、

「そうか……、地球がなんだかおかしいのお……」

 オリバー爺さんは、うつむき加減に頷いた。

「そう言えば、カナダやアラスカ東部の森が死んできているんですよ」

 私はアラスカに来るときには、カナダから車で走ってくる。

 その時に、延々と地平線を覆うほどの枯れた森を目にしていたのだ。

「それは、パイン・ビートルじゃ……」

 オリバー爺さんは言った。

 森に何10年も籠っていながら、爺さんは外界のことを良く知っている。

 パイン・ビートルというのは、コガネ虫を黒くしたような昆虫で、この虫の体に付着している菌が、樹木の内部に侵入して枯らしてしまうのだ。

 北米は、数年ほど前から森林の立ち枯れ被害が尋常ではなく、原因は、菌を運んでしまうこの虫が越冬して、数が多くなったからだと言われている。

 年々その被害は拡大していて、今まで森林が失われる原因のトップだった山火事以上に、大きな問題になっている。

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