第30話 雪が待ち遠しいのに、地球がオカシイ……。

「どうして……、私が、犬橇をはじめようとしたのかと言うと……」

 ところが、オリバー爺さんは、

「解っておる」と言って、私の話を止めた。

「え?」

「わしには、解っとるよ。お前さんは、犬橇のレースがしたくて、ここに来たわけじゃないじゃろ? 本当の犬橇の姿を見に来たのじゃろ? 解っておる……」

 そう……、私は、犬橇の本当の姿が見たかったのだ。

 私にとって犬橇は、小学校に通っていた頃からの夢である。

 もともと、あまり競争の好きではない性格もあって、タイムを競う犬橇レースには、まったく興味をもったことがない。

 けれど、犬橇を引いて冒険の旅をする話は大好きだった。

 だから犬橇のレースではなく、ただ犬と共にアラスカの森の中を旅したいと思っていたのだ。

 犬橇はもともと、旅の手段。

 その技術と知識に、私は触れたいと思っていたのだ。

 そのことを、オリバー爺さんは、なにも言わなくても分かってくれている。それが、とても嬉しかった。