「研究者が何かを見つけて、ストップをかけてからでは、遅いんです」
急には止まれない。
「バックもできますが、そうすると、視界に泥などが舞ってしまうので、できるだけバックはしないようにしています」
なるほど。気を遣いますね。
ゲームのコントローラのような操縦装置
そろそろ、しんかい6500はどうやって動かすのかを、教えていただけませんか。
ハンドルとアクセル、ブレーキですか?
それとも、飛行機のように、操縦桿があるんですか?
「これです」
ええ? なんです、この、カラオケのリモコンにケーブルがつながっているような、ゲームのコントローラーのようなものは。
「これで、しんかい6500を操縦するんです」
えええ? これで?
これで、こんなに大きなものを動かすんですか?
「そうです。このスライダーで主推進器の出力を調整して、このダイヤルで水平スラスタを調整します」
主推進器とは、しんかい6500の後部に2つついたプロペラのことである。これが回れば回るほど、前へ進む。
機動性を高めるためにと2つになったのは、2012年3月。それまでは、中央に大きなものがひとつあった。ほかにも、しんかい6500には、完成時と比べて改良が加えられた部分がたくさんある。
1989年生まれのしんかい6500は、日々、変化を重ねているのだ。