さまざまな装備があるのだが、やはり興味深いのは、球状の居住空間。
中には、椅子はない。乗ったら、寝そべるような格好で過ごすことになる。
窓は3つ設けられている。3人の乗員は、ここからおのおの、深海底を眺める。
その窓の外には、各種カメラと、折りたたまれた猫の前足のようなものが、2本。
マニピュレータだ。これで、深海の生物などを捕獲するのである。
マニピュレータの操縦も、パイロットの仕事だ。
マニピュレータの操縦は上手くないので
小倉さんが言った。
「私はあんまりマニピュレータの操縦が上手くないんで、船ごと持っていくようにしています」
え?
「ターゲットのある程度近くまで行って、そこでマニピュレータを操縦するのではなく、マニピュレータがターゲットの目の前に行くように船を操縦して、あとはつかむだけにするんです」
高速道路や駐車場での発券を思い出す。
腕を伸ばさなくていいようにと、車ごとぴたっと近付ける方が、よっぽど難しいではないですか!
車の運転と、しんかい6500の操縦とは似ていますか。車の運転が上手いと、しんかい6500の操縦も上手いとか。
「車で言う車幅感覚のようなものは大事ですけど、でも、車にはz軸方向の動きはないでしょう」
縦の動きである。
はい、確かに。
「z軸方向で、どこに自分がいるのかわからなくなるというのは、地上では経験ができませんよね。だから感覚としては、車の運転より、スキューバ・ダイビングの方が近いですね」
なるほど、そうですか。
「あと、私らは、研究者が探しているものを、研究者より先に見つけないとならないです」
どういうことですか?