世界の深海に潜り、地球の成り立ちや生命の起源を探っている潜水調査船「しんかい6500」。その操縦、管理を担うパイロットチームに話をうかがいました。第1回はこの潜水艇の仕組みや動かし方と、母船である「よこすか」についてです。(写真:田中良知)
たいそう大きな船が、JAMSTEC横須賀本部の岸壁に着岸していた。船体に堂々と「よこすか YOKOSUKA」と記されている。
全長105.2メートル。
数字で表されるよりもずっと迫力がある大きさで、この船首から船尾まで、本気を出せば9秒くらいで着いてしまうウサイン・ボルトって本当に本当に速いんだなと思う。
ボルトの10分の1くらいの速度で走って回り込んで船尾を見ると、青い、大きな鉄の枠組みのようなものが存在感を示している。
その名は、A字クレーン。深海潜水調査船「しんかい6500」を海へ下ろしたり、逆に引き揚げたりするのに使う装置だ。
このよこすかは、しんかい6500の母船として造られた支援母船である。
2013年春現在、よこすかは、しんかい6500と共に世界の海を航海中。インド洋、大西洋(ブラジル沖、カリブ海)、太平洋(トンガ海溝、ケルマディック海溝)と回る、1年をかけての大航海だ。
母港横須賀へ、電池交換のためいったん戻ってくるのは8月。本格的な帰港は12月だ。
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