第80回 初体験! 美味なるアジアの虫スナック

 実は、山田さんの話は彼が勤める東京・高田馬場のシャン料理レストラン「ノング インレイ」で聞いた。シャン料理のレストランが日本にあるということに驚いたが、亡命、留学などで東京には、現在300人ほどのシャン民族の人々が住んでいるのだという。

 レストランのメニューに気になるものがあった。「竹虫」だ。その名の通り、竹に巣くう体長3センチほどの細く小さな蛾の幼虫を素揚げして塩味を付けたものだ。「スナックみたいに食べるんですよ」と山田さんが教えてくれた横で、お店の子どもがおやつ代わりにポリポリ竹虫を頬張っている。

 竹虫を前にした私を見て、脇で食事をしていた若い女性が声をかけてきた。聞けばシャン民族と同じ地域に住む、別の少数民族だという。「シャン民族の文化にはあるかどうかわからないけど、ココナッツに付くイモ虫も美味しいのよ。カシューナッツそっくりの味がするの」と輝くような笑顔で教えてくれる。

 正直に言うと虫は得意ではない。でも、ポテトチップスのように竹虫を食べる小さな子どもを見、女性の言葉を聞いたら、ごく当たり前の食材に思えてきた。俄然、竹虫の味に興味がわいてくる。さっと口に入れると香ばしく、あっさりと上品。ナッツのような味わいがある。お世辞抜きで美味しい。

 今では竹虫の加工品が年中手に入るようになったそうだが、かつては8~10月限定の「季節グルメ」だったという。シーズンになると市場では、竹に入った虫を生きたまま売っているそうだ。

竹虫のスナック。竹虫は、生の状態のものをつぶして味噌のようにして食べたりもするそう
「ノング インレイ」ではこんな揚げパンも出してくれた。さくっと軽い食感であまり味はない。そのままでも美味しいが、甘い練乳を付けて食べたりする。次ページから話を聞いた倉井さんによれば、シャン特有のものではなく、ミャンマーで一般的によく食べるスナックだそう