第29話 オリバー爺さんの珍食性、ナマタリアン

 本来、生食と言えば、日本の得意分野。

 寿司に刺身に、イクラ丼、ウニ丼、明太子茶づけ、おせちの数の子――、生玉子かけご飯。

 生のものをこんなにも文化的に食べる人種は他にいない。

 私など、もはや刺身や寿司、生玉子かけご飯のない食生活など考えられない。

 けれどやはり、外国人からは、眉間にしわを寄せられて、「ロウ?」と疑問系で言ったあとに、必ず「オ~、ノ~」と、オーバーアクション付で言われる。

 最近は、寿司好きの欧米人も増えてきてはいるけれど、それでも全体から言うと、希少種のように珍しい。

 おそらく、完全ナマタリアンの欧米人は、世界中を探しても、オリバー爺さんぐらいなのではないだろうか……。

 爺さんが言うには、火を通した食べ物は、あまり体に良くない。

 これは、私の想像だけれど、オリバー爺さんはアメリカに生まれ育ち、暮らしてきたからこそ、そう思うのではないだろうか。

 バランスの良い栄養摂取を心がける日本人とは違って、アメリカ人といえば、ステーキやハンバーガー、フライドポテトに、ピザ、アメリカンドッグなど、いわゆる胃をどかんと満足させるものばかりを食べていて、そのあと、ビタミン剤やらカルシウム剤やらを飲んで、栄養補給をしている人が多い。

 きっと爺さんは、これぞ悪しきアメリカの食生活と悟ったに違いない。