そして本番の日、丸山さんはJAMSTECにやってきた。1時間半ぐらいの独演会の後、ボクらウルトラエッチキューブリンケージ研究グループは丸山さんを囲んでいろいろ語り合った。丸山さんの舌鋒とどまる事知らずで、挿入はなかったけど、いろいろ注入してもらった面白い会だった。

実は丸山さんはその時、一人の博士課程学生を連れてきていた。サーファールックに肩まで伸ばしたロン毛、色黒の学生だった。それだけ書けば、「チャラ男」っぽく聞こえるかもしれないが、ムードはもっとワイルドだろぉでかなりかっこ良かった。ボク好みだった。

何より射抜くような、それでいて澄んだ目が印象的で、ナニカ芯の通った熱いものを感じさせた。現在、JAMSTECプレカンブリアンエコシステムラボで研究員をしている(在外研究中でNASA JPLでスパイ活動中)渋谷岳造君だった。

その時、渋谷君はあまりしゃべっていなかったけれど(そりゃ肉食獣指導教官と一緒じゃあ気を使うわな)、ボクは彼のオーラを見て感じたんだ。

「この男! 将来使える!」

それに丸山さんは、自分の研究室に配属された学生さんがボク達との共同研究を進められるように取り計らってくれたんだ。2007年4月から煮込み実験(太古の深海熱水再現実験)に取り組んでくれた吉崎もと子さん(2013年3月に博士課程修了予定)は、ある意味、ウルトラエッチキューブリンケージ研究グループ創成時からの最古参のメンバーの一人になった。



次回、「終身ラボヘッド、末廣さん」につづく



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高井 研

高井 研(たかい けん)

1969年京都府生まれ。京都大学農学部の水産学科で微生物の研究を始め、1997年に海洋研究開発機構(JAMSTEC)の研究者に。現在は、同機構、深海・地殻内生物圏研究プログラムのディレクターおよび、プレカンブリアンエコシステムラボラトリーユニットリーダー。2012年9月よりJAXA宇宙科学研究所客員教授を兼任。著書に『生命はなぜ生まれたのか――地球生物の起源の謎に迫る』(幻冬舎新書)など。本誌2011年2月号「人物ファイル」にも登場した。

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