その国際シンポジウムは刺激的だった。それまで『Nature』とか『Science』のような論文誌でしか知らなかったような初期地球と生命の研究をリードする大物の研究者が、それはもうデカイ面で偉そうにしゃべっていた。最初ボクは心の中で「キャー! ○▲さまー♡」とかかなりミーハー気分だった。

しかし会議が進むにつれ、そういう大物たちが「メタン菌がメタンをつくっていたのらー」とか「一酸化炭素脱水素酵素複合体が鍵よ、そういうもんやろ!」とか言っているのを聞いて、「アレッ?」と思い始めた。「さてはこいつら、チョイとかじった生物系の新しい知識を披露して、ケムに巻こうとしてないか」という疑惑がフツフツを湧き始めた。

分野融合はお肌ピチピチ世代の特権よ

会議も終盤になると疑惑が確信に変わった。「こいつらこそ、初期地球と生命の研究における分野融合の必要性を切実に感じているんだ。だからこそ、かなり付け焼き刃的とはいえ、これまでにない新しい考え方とか解釈とかアプローチを導入しようとやっきになってやがる・・・」と。

ボクは完全に上から目線モードにスイッチした。「ふははは、愚か者どもよ! そんなメタボ体質になってから焦っても、既に手遅れよ! 分野融合と言うのはお肌ピチピチ世代の特権よ。オレ様が真の分野融合というモノを見せつけてくれるわ!」

これはあくまでボクの心の闇の部分を代弁しただけで(笑)、実際はすごく勉強になる会議だった。特に驚いたのが、日本の初期地球環境研究のレベルがすごく高いことだった。中でも、ボクが「!!」と思ったのが、当時東京工業大学のポスドクをしていた上野雄一郎さんの発表だった。

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