File3 JAMSTECの稼ぎ頭 阪口秀
第3回 地震の前のサインを読む!
「最初は難航しました。が、いろいろと研究所などの規定を調べたり、関係する役所にも話を聞くなど努力と交渉を重ね、その甲斐あって、後日規定は変わりました」
おお。
「結局、僕自身には金は返ってきませんでしたけど」
それは、なんとなくそう思いました。
いえ、お金が返ってこなかったことではなく、お金が欲しくて交渉したんじゃないんだろうな、ということです。
「たとえ今回、自分には適用されなくても、のちのちに倒れて救急車で運ばれるかもしれない職員のために、同じような目に合うかもしれない人が1人でも減ればいいんです」
そして、きっぱりとこう付け加えた。
「僕は、論理的におかしいことが嫌いなんです」
圧倒され、ぐうの音も出ない取材陣。
怪しいままではダメ
インタビューの最初の頃に出てきた話を思い出す。開発したソフトの売上げを『受託研究費』にするか、『事業収入』にするかに、たいへんこだわったことを。
あの、それは、いつからですか?
どのようにして今のように「論理的におかしいことが嫌い」に?
「うーん。どうやって。わかんないですけど、親の教育でしょうか。親も、筋が通っていないことが嫌いでした」
阪口少年は、繰り返し、こう言われて育った。
相手によって言うことを変えるな。もし、これを言ったら殺されると思うことがあったなら、そうまでして命まで失うことはないから、黙っているのは構わない。
しかし、思ってもいないことを言うな。
そういう人間は、信用されない。そして、そういう人間を、信用してはいけない。
その教えの通りに大人になった阪口さんは、JAMSTECのこれからについて「怪しいままではダメ」と言う。
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