自動操縦や遠隔操作で任務をこなす無人飛行機。悪用の危険をはらみながらも、軍用から民間ビジネスへ広がりつつある。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

無人飛行機がやってくる

自動操縦や遠隔操作で任務をこなす無人飛行機。悪用の危険をはらみながらも、軍用から民間ビジネスへ広がりつつある。

文=ジョン・ホーガン 写真=ジョー・マクナリー

 十数年前、無人飛行機に関心をもつのは、2種類の人間しかいなかった。ラジコン飛行機マニアと、無人機での偵察任務を行う軍の関係者だ。

 しかし、2001年9月の米国同時多発テロ事件と、それに続くアフガニスタンやイラクへの侵攻を経て、無人飛行機は米軍の必須アイテムとなった。米国本土にいながら何千キロも離れた標的を偵察したり、破壊したりできるようになった。

 2002年には200機に満たなかった米軍の無人飛行機は、今では約1万1000機。「あと20年もすれば、有人軍用機の大半は無人機に取って代わられるかもしれない」と、安全保障問題の専門家ジョン・パイクは語る。

 無人飛行機を保有する国は50カ国を超え、中国、イスラエル、イランなどは国内に製造拠点も構えている。メーカーや大学、政府が開発する次世代無人機は多様性に富み、大きさはガやハチドリほどのものから、翼幅45メートルのボーイング社「ファントム・アイ」まである。

 小さな新興企業から大手の軍需企業に至るまで、1000を超す企業が無人飛行機のビジネスに参入していて、一部はその用途を軍用以外にも広げようとしている。税関国境警備局に導入され、密輸業者や不法移民の発見に使われている無人機もあれば、コスタリカの火山、ロシアやペルーの遺跡、米国ノースダコタ州の水害被災地などで、科学的なデータ収集に貢献した無人機もある。

 近い将来、農業(生育状況の確認や農薬散布、はぐれた家畜の捜索)、マスコミ(大規模イベントや有名人のスクープ撮影)、気象予報、交通管制などにも不可欠な存在になると期待が集まる。「可能性は、この空よりも大きく広がっていますよ」と、ロッキード・マーチン社の技術者ビル・ボージアは笑う。「潜在ユーザーの手に届けられさえすれば、有益な使い道をたくさん考えてもらえるでしょう」

(2013年3月号特集「無人飛行機がやってくる」より)

編集者から

 湾岸戦争の、まるでゲームのような「ハイテク戦争」にも驚きましたが、うるさい蚊をたたいたら、小さな飛行機の残骸が手の中に……なんていうのが当たり前の時代がくるのでしょうか。ちょっと怖いですね。(編集H.O)

この号の目次へ

ナショジオクイズ

こちらは90年代に建てられた、あるテーマパークの写真です。さてどこでしょう?

  • 富士ザウス王国
  • 富士ワイルドブルー王国
  • 富士ガリバー王国

答えを見る

ナショジオとつながる

会員向け記事をお読みいただけます。

ナショナル ジオグラフィック バックナンバー

ナショナルジオグラフィック日本版サイト

広告をスキップ