第11 回 「正しい養殖」を求めて

 ところが残念なことに、ウナギは大量養殖に適していない。海で産卵するからだ。海で過ごす間に、ウナギは卵から透明な体をした稚魚へと驚くべき変貌を遂げ、まだかなり小さいうちに群れをなして川へやってくる。川をさかのぼって成長すると、淡水環境で何年も暮らした後に、ようやく川を下るのだ。晩餐に出されたウナギの稚魚の料理は、この魚の古来の生活様式に大きな犠牲を強いた結果だったのである。

海のたんぱく源、何を食べる?

 この惑星は70億もの人口を抱え、その規模が減る気配は一向にない。あらゆる種類の天然魚が急速に減っている現状を考えると、天然の魚を捕る漁業はもはや、世界に食糧を供給する有効な方法とはみなせない。今後、海から大量のたんぱく源を得るには、水産養殖しか道はないだろう。ただし、それは正しい種類の養殖でなければならない。

 国連食糧農業機関(FAO)の2000年の報告によれば、世界の人口の7分の1にあたる約10億人が海の魚介類を主なたんぱく源としている。北米では消費される動物性たんぱく質の約10%が天然か養殖の魚介類だが、中国ではこの割合が22%にのぼる。

 このうち天然ものの割合が多いほど、問題は深刻だ。魚類の個体数が今のペースで減りつづければ、今世紀半ばには海の野生生物に依存できる人口はごくわずかになってしまう。拡大する不足分を理論上は水産養殖で埋められるはずだが、事の緊急性にもかかわらず、解決策の実施は遅々として進んでいない。

 もっとも、魚介類を食べることの是非についてはさまざまな見方がある。ある医者はこんなふうに言う。「魚介類を食べてくださいね。良質のたんぱく質とオメガ3脂肪酸が含まれていて、体にいいですから。とくにマグロやメカジキ、サケ、タラなどがいいですよ」。ところが、別の医者はこう言う。「気をつけてくださいよ。マグロやメカジキ、サメ、タラ、スズキなどはどれも、水銀などの有毒物質の濃度が高いんです。とくに妊婦さんには危険です」