第27話 この森は、オオカミたちの楽園?

 ミンチュミナでも、スティーブの一家を含め、数軒ほどしかない。

 オオカミを捕る罠師が少なくなった上に、お隣さんが野生動植物保護区ということもあって、ここはオオカミにとって、この上ない安泰の地となっているのだ。

 リバーボートから岸に下りて、ムースの足跡を探してみても、それらしきものを見つけることができなかった。

 私は、アラスカの中央を流れる大河ユーコン川をカヌーで下ったことがあるが、そのときは、川中の小島にカヌーを付けると、当たり前のようにムースや熊の足跡を見つけたものだった。

 スティーブが再び、ため息をつきながら言った。

「ムース肉のない冬は、厳しいよ…………」

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つづく

廣川まさき

廣川まさき(ひろかわ まさき)

ノンフィクションライター。1972年富山県生まれ。岐阜女子大学卒。2003年、アラスカ・ユーコン川約1500キロを単独カヌーで下り、その旅を記録した著書『ウーマンアローン』で2004年第2回開高健ノンフィクション賞を受賞。近著は『私の名はナルヴァルック』(集英社)。Webナショジオでのこれまでの連載は「今日も牧場にすったもんだの風が吹く」公式サイトhttp://web.hirokawamasaki.com/