第27話 この森は、オオカミたちの楽園?

「そうとも言えないよ。そもそもムースは人間によって狩られ過ぎている。それに、近年のオオカミ保護で、オオカミの数が増え過ぎているんだ」

「オオカミが増え過ぎている?」

 耳を疑うような言葉に、私は再び聞き返した。

「オオカミは絶滅に瀕している種なのでは…………?」

 かつて家畜を殺す害獣として、ほとんど駆除されたことから、アメリカ本土でもオオカミの数は少ないと言われている。

 それに、アラスカではオオカミの毛皮は、高値で売買されるために、罠師によって狩られ、数を減らしたとも聞いている。

 ……が、それももう過去のデータでしかなく、私の記憶も、ずいぶんと前のものだった。

「今は、オオカミの数が多過ぎるんだ」

 ミンチュミナの森で生まれ育ち、これからもその森で生きていくスティーブは、唇を噛み締めるような声で言った。

 かつてミンチュミナ湖周辺には、野生動物の毛皮を取って生計を立てる罠師一家が多く住んでいたという。

 化学繊維の時代の到来と、高級毛皮に対する社会的批判もあって、今の時代、罠猟で暮らしていくのは難しい。