第27話 この森は、オオカミたちの楽園?

 森と言っても、この周辺の木々は育ちが悪く細い木だらけで、今の季節は落葉していることから、木々の隙間が多く、遠くまでも見渡せる。

 そのずっと奥の奥まで、なんの気配もなく、森は静まりかえっていた。

 次にスティーブは、自分の声でムースの声を真似た。

 かなり練習をしたようで、先ほどの缶に劣らず、「ぶお~ん」という鈍く低い音を響かせた。

 まるで野生の捕食動物のように、私たちは息をひそめた。

 数分の間、じっと待ってみるけれど、森は一切返事をしない。

「ダメか……。ここのところ、ムースが少ないからな……」

 スティーブは、深いため息をついた。

「ムースが少ない?」

 私は聞き返した。その言葉に、少し疑問を持ったのだ。

「ここは、野生動物を保護しているデナリ国立公園に近い原野の森。野生動物が少ない訳がない。むしろ豊富にいるはずじゃないの?」

 私は言った。