第27話 この森は、オオカミたちの楽園?

 さらにボートを進めていくと、底が浅くなって、氷が張りだしている。

 ボートの舳先で、氷を割りながら進むと、スティーブはボートを岸につけて、足元に転がっていた缶をおもむろに拾いあげた。

 缶には、糸電話のように糸が付けられている。

 スティーブはその糸と自分の指を水に濡らしてから、缶を脇に抱えて、糸をぴんと張った。

 そして、濡れた指を糸に滑らせると、ボオオ~ンという音が響いた。

「なになに、今の音、何?」

 私は、その缶を覗き込んだ。

「今のはね、ムースのメスの鳴き声だよ」

「へー、メスってこんな鳴き声をするんだ」

「オスが近くにいたら、メスだと思って出て来るよ」

 そう言ってスティーブは、何度か音を鳴らしてみた。

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