第5回 雪に慣れない都市部に潜む雪害のワナ

 佐藤さんからこの話を聞いた翌日の東京の雪で、スカイツリーからの落雪が民家の屋根に穴を開けたという報道があった。たしかに恐ろしい。建物の損壊ではなく、人に当たる可能性は常にある。

 また、地上では雪ではないのに、スカイツリーや高層ビルの上部では着雪する可能性というのは、言われてみれば当たり前とはいえ、まずは驚いた。スカイツリーの場合600メートル以上あるわけだから、理論的には地上よりも3~4℃気温が低いことになる。ただの雨だと思って油断していたら上から雪の塊が……ということはあり得るのだ。管理会社はそれを理解しているとは思うが、スカイツリーに限らず、高い建物にはそういう危険性があることは、もっと知られるべきだろう。

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おわり

佐藤威(さとう たけし)

1954年、秋田県生まれ。防災科学技術研究所(NIED)雪氷防災研究センター長。理学博士。東北大学大学院で大気境界層物理学を専攻し、東北大学理学部助手を経て、1988年、国立防災科学技術センターの新庄雪氷防災研究支所へ。主に地吹雪の研究を担当する。2001年、新庄支所長になり、2011年より現職。特に、吹雪の発達やそれによる視程障害について野外観測や低温室における実験により予測モデルを開発し、また、屋根雪の滑落条件の研究などに基づき、事故発生危険度の基準を策定した。

川端裕人(かわばた ひろと)

1964年、兵庫県明石市生まれ。千葉県千葉市育ち。文筆家。小説作品に、少年たちの川をめぐる物語『川の名前』(ハヤカワ文庫JA)、感染症制圧の10日間を描いた小説『エピデミック』(角川文庫)、数学史上最大の難問に挑む少年少女を描いたファンタジー『算数宇宙の冒険・アリスメトリック!』(実業之日本社文庫)など。ノンフィクションに、自身の体験を元にした『PTA再活用論 ──悩ましき現実を超えて』(中公新書クラレ)、アメリカの動物園をめぐる『動物園にできること』(文春文庫)などがある。サッカー小説『銀河のワールドカップ』風のダンデライオン 銀河のワールドカップ ガールズ』(ともに集英社文庫)は、4月よりNHK総合でアニメ「銀河へキックオフ」として放送中。近著は、独特の生態系をもつニュージーランドを舞台に写真家のパパを追う旅に出る兄妹の冒険物語『12月の夏休み』(偕成社)、天気を「よむ」不思議な能力をもつ一族をめぐる、壮大な“気象科学エンタメ”小説『雲の王』(集英社)(『雲の王』特設サイトはこちら)。
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