第4回 雪に弱くなった雪国

 我々の目にはただの積雪にしか見えないものが、実はその内部ではいろいろなことがあるらしいのである。これについては、佐藤さん直々に、センターの建物の裏の積雪で見せてくれた。

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 ぼくが訪ねる前の2日くらいかなりの降雪があり、上の方はふわふわした新雪だ。スコップは簡単に入るし、こぶしを押し込んでもずぼっと入る。積雪の研究者の間では、「こぶし」、「指1本」、指がだめなら「鉛筆1本」、そして、最後は「ナイフ」といったような、日常的なもので雪の硬さ、絞まり具合を表現するスケールが使われることがあるそうだ。

 その伝でいくと、表面近くは「こぶし」だが、数10センチ下の方になると、ザラザラの粒になり押し固められ、おそらくは「鉛筆1本」レベルだった。冬のはじめに降ってから、何度も暖かい天気を経て融けたり、また凍ったりした部分もあり、単に圧縮されただけではない複雑な様相を呈する。佐藤さんがスコップを使って、弱そうな面にさっと力をかけると、ずるりとその面の上の雪が滑った。つまり、それが弱層。これが山の斜面なら、このあたりから表層雪崩が起きる。

スコップで作った積雪の壁から、専用の道具で雪を切り出して、積もった雪の状態を観察する。上のほうの雪はふわふわとした新雪だったが、右の写真のように下のほうはザラザラの粒状だった。その境目が「弱層」で、表層雪崩はこのあたりで起こる。(写真クリックで拡大)