第3回 雪国の冬を安全、快適に過ごすために

「はじめて、本格的な豪雪を味わったといいますか。はっきり覚えてます。12月1日の採用で赴任して、その少し後に、一晩で50センチか60センチ、どんと降ったんです。朝起きて玄関を開けると、雪のせいで出られない。そんな経験初めてだったんで、やっぱりびっくりしましたよね」

 科学者というのは、目の前の現象に魅せられて、そのメカニズムなどを解明したいという欲望に駆られることが多いように思う。これはすぐに研究対象に対する愛に結びつく。例えば、ぼくが知るサルの研究者は、みんなおサルさん好きだ。ただ、防災科学の場合、対象愛よりも、むしろ、理解を深めて人を助けたい、という思いが強くなる研究者が多いようにも思う。佐藤さんが、本格的な豪雪を経験して、研究対象とする中での思いはどんなふうだろう。

「──やっぱりこれだけ人が怪我したり、亡くなったりするのを毎冬見てるんで、我々は研究者なんだから、それを防ぐのに役立ちたいと、だんだん強く思うようになっていきました。わたしが専門にしてきた地吹雪も非常に危険な現象ですし、それによる被害を防ぐ方法を考えたい。それに加えて、雪国社会そのものが抱えてる問題が雪を通じて出てくる面もあると思うので、そういうところに少しでも役に立てればなと。そこまで考えるようになったのはこの10年くらいなんですが」

NIEDは「防災科学技術研究所」の略称。災害に強い社会を実現すべく、雪氷防災研究センターをはじめ、さまざまな自然災害への防災にかかわる科学技術を研究、開発している。極端気象の真木雅之先生もその一員だ。(写真クリックで拡大)