熊谷さんが続ける。「UltraH3 Linkageが重要という仮説は面白いと思いますが、現世の地球に関してなら、みんなで航海を計画して、様々な分野の研究者と共同でそれを検証する事はできますが、過去の地球においては、それをどうやって分野横断型研究に落とし込むんですか?」

「一つはさっき謙太郎君が説明したように、今の地球に残る過去の地質記録から遡る方法があります。今までの地質調査では、微生物や流体化学の研究者があまりコミットできていませんよね。例えば、ボクらが一緒に西オーストラリア・ピルバラの地質調査に行くだけで、少なくともこれまでとはその地質の見え方が変わってくると思いますよ」とボク。

ボクはさらに続ける。「でも、実際40~38億年前の地質記録は地球上にほとんど存在しませんよね。それに地質調査とその試料の分野横断的分析や解析、解釈だけでは、押しが足りないと思うんです。そこで、この研究の目玉として考えていることがあるんです」

「40~38億年前の深海熱水、いやUltraH3 Linkageそのものを実験室内に再現しましょう!それで太古の地球の海水、熱水、そこでの分子進化、生命のようなモノの発生、そして生態系の代謝なんかを再現するんです」

全員「!!」

「といっても、最初はできる所から始めればいいと思うんです。すでに1980年代から岩石と海水の高温高圧反応実験(煮込み実験)がやられていますよね。特にカンラン岩と海水の煮込み実験で、水素がしこたまできるヤツとか。でもこういう実験は、コマチアイトでは誰もやってないし、コマチアイト煮込み実験での水素生成とか、そのあとメタン菌をその中で増殖させるとか、それだけでも十分面白いし、実験はやればやるだけ結果が出るし、もう、やり放題っすよ、社長さん」。ボクはいつの間にか、歓楽街の客引きのおっさんのようになっていた。

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