ボクらは「地質‐生命相互作用から地球生命誕生と初期進化の真の解明を目指す革命的分野融合研究の構築」なるテーマで、「3年間総額1億5000万円頂こうじゃねえか。見とけよ、オラー!」の作戦会議を開いていたのだった。

その作戦会議冒頭で、ボクはアメリカ大統領就任演説ばりに力説したのだ。

1977年に最初の深海熱水活動が発見されて以来の大テーマであり、そして「我思う故に我在り」とこの研究の道を志すキッカケとなったあの魅惑的なテーマである「地球生命は深海熱水から生まれた」説に対して、ほぼ30年間の深海熱水研究は何ら具体的なブレークスルーをもたらしていない。それはそれぞれの研究分野が互いの分野を侵す事もなく、それぞれの研究分野の隆盛だけを目標にしてこじんまり小市民的研究の幸福を求めてきた当然の帰結である。

ギリシャ哲学を祖とする自然科学における最大の命題である「地球生命の誕生と初期進化」の解明は、生物学や化学、海洋科学、地球史や古生物といった単独の研究領域だけで成し遂げられるほど生易しいモノではない。断じて否。すべての科学知見を結集し、混ぜ合わせて、こねくり回して、ボコボコに叩き上げて、最もエレガントな(論理整合的な)ストーリーを創り上げた挙げ句、また壊し、再構築するという果てしない営みによってのみ解明し得るのだ。

この科学命題こそ、分野の障壁など叩き壊して、JAMSTECの総力を結集して取り組むべき分野横断研究対象であり、その実現・実行には、口先だけの「エア分野横断」では到底太刀打ちできず、真の分野横断を一人一人の研究者の頭で、精神で、身体で体現する若い研究者集団の形成が必須なのだ。

私はここに宣言しよう。「地球生命は深海熱水から生まれた」とする大仮説に対して、検証すべき具体的な仮説として、練り上げたばかりのストーリー「最古のメタン生成代謝によって支えられた微生物生態系が、超マフィック岩の蛇紋岩化反応によって高濃度の水素を含む熱水に誕生し、進化した」を掲げ、この人類究極の研究テーマに挑まん事を!!

そして、ここに集いし我ら5人、生まれし日、時は違えども分野融合の契りを結びしからは、心を同じくして助け合い、地球生命誕生の謎を解き明かさん。上はJAMSTECの名誉に報い、下は次世代の若者を安んずることを誓う。同年、同月、同日に生まれることを得ずとも、同年、同月、同日に死せん事を願わん。

ずいぶん好き勝手な脚色を施してしまったが、意図としてはそんなことを言ったんだ。

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