第7話(最終話) 新たな「愛と青春の旅立ち」へ

その3  「人類究極のテーマ」に挑むための作戦会議

前回まで:超マフィック岩のあるところに高濃度の水素あり。高濃度水素と熱水あるところに微生物生態系あり。その生態系こそ「地球最初の生命の名残」なのである・・・。という壮大な仮説を検証しようと、異なる分野の研究者が高井さんのもとに集まりつつありました。



そして時は2004年9月のことだった。
JAMSTEC横須賀本部の本館3階の一角に、むさ苦しい5人の男が集まって何やらひそひそと話し合っていた。

集まっていたのはボク、稲垣史生(微生物学者)、熊谷英憲(地球化学者)の3人(ここまで紹介済み)と、熊谷さんが連れてきたタンクトップに半スボン姿の「裸の大将」山下清風の鈴木勝彦氏、そして一見爽やかな外見をした中村謙太郎君だった。

鈴木勝彦さんはその時初めて会ったのだが、JAMSTECの固体地球研究グループに所属する同位体分析化学屋で、同位体化学を用いた地球史の、しかも先カンブリア紀の研究をしている人だと紹介された。

中村謙太郎君は、鈴木さんと一緒に研究をする予定の若手研究者で、先カンブリア紀のなかでもバリバリの太古代(40億年前から25億年前までの地質年代)海洋地殻の熱水変質について研究していた。熊谷さんが言うには「インド洋の研究での知り合い」らしいが、熊谷殿と中村殿が比類なき軍事オタクであることは公然の秘密だったことから、おそらく「軍事オタのオフ会」のようなもので知り合ったのではないかと指摘する専門家もいる。

ボクらが顔を突き合わせていた理由は、その時JAMSTECで、経営陣肝いりの「第1回分野横断研究アウォード」なる競争的研究資金の募集が行われる事になっていたからだった。「JAMSTECの既存の研究の枠組みを打破し、新しい分野融合学際領域を打ち立てる独創的な研究には、3年間総額1億5000万円まで出してやろうじゃねえか。かかってこいや、オラー!」という豪気な募集だった。

本文中では「裸の大将」山下清風と書いたのに全然普通に見えるJAMSTEC地球内部ダイナミクス領域とプレカンブリアンエコシステムラボの鈴木勝彦氏。本人に「山下清」風の写真下さいとは言えなかったのだ。
(提供:高井研)