第2回 日本の半分が大雪になるわけ

上段左からL、T、Sモード、下段左からV、M、Dモード。
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 日本海からの風の向きと並行した線状の雪雲になっているのがLモードで、北西季節風に斜行(ほぼ直交)するように向いているのがTモード。これらは典型的な冬型の気圧配置の時に良く現れ、山雪になることが多い。

 さらに、降雪域がべったりひろがったSモード、反時計回りに渦状の降雪域が強い降雪をもたらすVモード、山の斜面で雲が動かないMモード、海岸近くで動かないDモードなどが観察されている。

 ここらはセンターがある新潟県固有の降雪パターンなのだが、他地域にも充分一般化可能だろうと中井さんは踏んでおり、近い将来、一般降雪論、みたいな話に発展していくかもしれない。

 中井さんは言う。

「実は、雪に関する研究といっても、私みたいな降雪の研究者は少なくて、積雪の方が多いんですね。このセンターには、積雪に関しては、観測、実験、積雪のモデルを作る人、全部揃ってますけど、降雪のほうはちょっと人数が少ないんで、まずは観測中心にやっています」

 雪の研究で、降雪・積雪という分野の違いがあることが新鮮だった。しかし、考えてみると、降雪の観測やメカニズムの解明と、雪が積もった後の挙動の解明はまったく違う話だ。防災にはもちろん前者も大いに関係あるが、地上に降りたとたんに「積雪」になる以上、その研究者が多くなるのは自然なのだろう。

降雪の研究は近い将来、大きく発展するかもしれない。
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つづく

佐藤威(さとう たけし)

1954年、秋田県生まれ。防災科学技術研究所(NIED)雪氷防災研究センター長。理学博士。東北大学大学院で大気境界層物理学を専攻し、東北大学理学部助手を経て、1988年、国立防災科学技術センターの新庄雪氷防災研究支所へ。主に地吹雪の研究を担当する。2001年、新庄支所長になり、2011年より現職。特に、吹雪の発達やそれによる視程障害について野外観測や低温室における実験により予測モデルを開発し、また、屋根雪の滑落条件の研究などに基づき、事故発生危険度の基準を策定した。

川端裕人(かわばた ひろと)

1964年、兵庫県明石市生まれ。千葉県千葉市育ち。文筆家。小説作品に、少年たちの川をめぐる物語『川の名前』(ハヤカワ文庫JA)、感染症制圧の10日間を描いた小説『エピデミック』(角川文庫)、数学史上最大の難問に挑む少年少女を描いたファンタジー『算数宇宙の冒険・アリスメトリック!』(実業之日本社文庫)など。ノンフィクションに、自身の体験を元にした『PTA再活用論 ──悩ましき現実を超えて』(中公新書クラレ)、アメリカの動物園をめぐる『動物園にできること』(文春文庫)などがある。サッカー小説『銀河のワールドカップ』風のダンデライオン 銀河のワールドカップ ガールズ』(ともに集英社文庫)は、4月よりNHK総合でアニメ「銀河へキックオフ」として放送中。近著は、独特の生態系をもつニュージーランドを舞台に写真家のパパを追う旅に出る兄妹の冒険物語『12月の夏休み』(偕成社)、天気を「よむ」不思議な能力をもつ一族をめぐる、壮大な“気象科学エンタメ”小説『雲の王』(集英社)(『雲の王』特設サイトはこちら)。
ブログ「リヴァイアさん、日々のわざ」。ツイッターアカウント@Rsider