番外編11:「ヒッチハイク」ハキリアリの役割は?

<こたえ>
 葉を運ぶ中型働きアリを、敵から守るためです。

ネオドルニフォラ属の一種(ハエ目:ノミバエ科)
A phorid fly, Neodohrniphora sp.
アリに卵を産みつけようと、巣の近くでスキをうかがうノミバエのメス。
体長:約1.5 mm 撮影地:サン・ラモン、コスタリカ(写真クリックで拡大)

 昼間は、ハキリアリの天敵であるノミバエの仲間が、アリたちに卵を産みつけようとスキをうかがっています。あるノミバエは、運ばれている葉に乗り、葉をくわえているアリのアゴの付け根に卵を産みます。

 だから葉の上に陣取った小型働きアリは、外に向かってアゴを広げ、ノミバエが葉の上に乗りにくい状況をつくったり、乗られたら追い払ったりするのです。運ばれている葉から途中で下りたり、途中で乗ったり、葉から葉へと移動するものも少なくありません。

 夜の外敵はまだあまり知られていませんが、昼間と同じく葉を切ったり運んだりすることに集中している無防備な中型働きアリたちを守る役割を果たしているのだと考えられます。

 以下、夜中じゅう活動するハキリアリの動画をご覧ください。

セファロテスハキリアリの行列のビデオ
A video footage of the procession of Atta cephalotes leafcutter ants

午前0時、懐中電灯で照らした木の幹を、行き交うハキリアリたち。葉を切る活動は、天敵のノミバエが活動しない夜に行われることが多い。
撮影地:シキレス付近、コスタリカ 撮影者:Tamaki Morita

西田賢司

西田賢司(にしだ けんじ)

1972年、大阪府生まれ。中学卒業後に米国へ渡り、大学で生物学を専攻する。1998年からコスタリカ大学で蝶や蛾の生態を主に研究。昆虫を見つける目のよさに定評があり、東南アジアやオーストラリア、中南米での調査も依頼される。現在は、コスタリカの大学や世界各国の研究機関から依頼を受けて、昆虫の調査やプロジェクトに携わっている。第5回「モンベル・チャレンジ・アワード」受賞。著書に『わっ! ヘンな虫 探検昆虫学者の珍虫ファイル』(徳間書店)など。
本人のホームページはhttp://www.kenjinishida.net/jp/indexjp.html