第5章 1956- 第二期黄金時代からさらなる挑戦へ

第10回 ナショジオがつくった“軽い本”のベストセラーとは

 ホワイトハウスのガイドブック『THE White House; An Historic Guide』です。

 依頼したのは当時のファーストレディ、ケネディ大統領夫人のジャクリーヌ。つまり公式ガイドです。でも、値段のついたれっきとした売りものです。

1961年1月号より。ケネディ家の引っ越しにあわせて特集を組みました。(写真クリックで拡大)

 コトの起こりは1961年1月号の特集「大統領のお宅拝見(Inside the White House)」でした。

 1月20日に行われる当選したばかりのケネディ家の引っ越しにあわせ、40ページにわたりホワイトハウスのなかを紹介したこの記事がジャクリーヌの目にとまります。そのときの案内といえば、国立公園局がつくったガリ版刷りの粗末な紙っぺらだけ。毎日ホワイトハウスを訪れる何千人という見物客に用意されるものが、それしかないことに業を煮やしていたジャクリーヌは、ナショジオにガイドブックの制作をもちかけました。

 ジャクリーヌ夫人は自ら組織した「ホワイトハウスヒストリカル協会」を通じて、しっかりしていながら、決して高価ではないカラー写真の入ったガイドブックをつくれないかメルビルに打診します。それだけならなんてことはないのですが、驚くべきは締め切り。7月4日の独立記念日の刊行に間に合うように、3週間でレイアウトを仕上げられないかというのです。なんという無理難題! 原稿も写真もまったくないところからですからね。こりゃ大変!!

1961年1月号より。(画像クリックで拡大)