第43回 ハキリアリは農業を営む(パート1)

このハキリアリ、葉を運搬しやすいように、巣と切り取り作業現場の間にある草などを刈り取って通り道を整備することもある。さながら「高速道路」だ。長いものだと200メートル以上にもなるという。

今回写真で紹介しているのは、セファロテスハキリアリ。コスタリカに生息する30種ほどのハキリアリの中で一番よく見かけるもので、海抜ゼロメートル地帯から標高1500メートルの森林縁や、適度な木々のある街中でも見かけることができる。

 そういえば、このアリの女王は巨大!(一番下の写真)
 ぼくがコスタリカに来て一番最初にびっくりさせられた昆虫だったことを、原稿を書いていて思い出した。

 次回は、ハキリアリの巣(アリ塚)や他の働きアリの様子をご覧いただきます。

木の根元へと続く幅15センチほどの道は、ハキリアリたちが造った「高速道路」だ。
撮影地:ウハラス、コスタリカ(写真クリックで拡大)
ハキリアリが「かじった」木
Traces of leafcutter ants
30メートルもある木のてっぺん、右の木の花がハキリアリたちに切りとられ少なくなってきている。
撮影地:サラピキ、コスタリカ(写真クリックで拡大)
セファロテスハキリアリの若い女王
Young queens of a leafcutter ant, Atta cephalotes

体長が中型働きアリの3倍もある女王アリ。雨季の始めになると、翅を生やした若い女王アリたちが新しいコロニーを育むため、菌糸体のかけらを口の奥のポケットに入れて活動を始める。適当な環境がみつかると、翅を切り落とし、歩いて巣をつくる場所を見つける。
体長:22 mm、翅の長さ: 28 mm 撮影地:モラビア・デ・チリポー(左)、テノーリオ火山国立公園(右)、コスタリカ(写真クリックで拡大)

ハキリアリの種の同定をThe Evergreen State CollegeのJack Longino博士にお願いしました。アリがとうございます。

西田賢司

西田賢司(にしだ けんじ)

1972年、大阪府生まれ。中学卒業後に米国へ渡り、大学で生物学を専攻する。1998年からコスタリカ大学で蝶や蛾の生態を主に研究。昆虫を見つける目のよさに定評があり、東南アジアやオーストラリア、中南米での調査も依頼される。現在は、コスタリカの大学や世界各国の研究機関から依頼を受けて、昆虫の調査やプロジェクトに携わっている。第5回「モンベル・チャレンジ・アワード」受賞。著書に『わっ! ヘンな虫 探検昆虫学者の珍虫ファイル』(徳間書店)など。
本人のホームページはhttp://www.kenjinishida.net/jp/indexjp.html