3人に2人は太りすぎで、その半分の3人に1人は肥満の国では、必要に迫られていままで無かった商品が沢山作られるようになり肥満商品産業のようなものが急成長している。たとえば飛行機に乗るときは通常のシートベルトではもう届かないからエクステンダー(伸張ベルト)を買って自分で取り付ける。航空会社によって仕組みが違うからまだ飛行機になんとか乗れるレベルのデブはそれらの各航空会社のものを用意しなければならない。これはよく売れているそうである。手が届かないので長いスティックの先に爪切りのついた遠隔操作式(植物の剪定のような)グッズや排便のあとに手が尻に届かないのでこれも長い把手のついた遠隔拭き取り器具。これらを使ってなんとか自活できるデブはまだいいとして、肥満による高血圧や糖尿病の専門病院となると、入り口の幅からエレベーターの大きさも特大にしなければならないので全体の設備投資がやはり倍になる。車椅子も通常の倍以上、ベッドは横幅が165センチもあるという。

 こうしたところに入院しなければならないほど肥満して重度の病気になっていく人が沢山いるのもアメリカであり、そういう重度の病気になったデブを受け入れられる医療施設がちゃんとある、というのもまさにアメリカなのだ。

 こうしたデブ対応の商品から施設まで、どんどん需要が増しているからデブ市場、デブ産業も急速にデブ化、いや拡大成長しつつあるが、忘れてはならないのは、アメリカ人をデブにしていった、たとえば人間を太らせる食品加工産業がその前に急成長してきたことだ。そして当然ながらこの「デブ対応、対策産業」の巨大化がそのあとに続いている。

 つまり「痩せるための産業」である。たとえばもうエクササイズなどではどうにもならなくなったデブは、体についた脂肪分を外科的に削除してしまう、なんていう手術もしている。『アメリカン・スーパー・ダイエット』には巨大化したお腹が重力によって膝のあたりまでたれさがってしまった女性の写真が出ている。ちょっと見ても何がなんだかわからない。その写真の下に90キロも削除したその女性の写真が出ている。切りとって90キロ無くした体は残念ながらそれでも写真で見るかぎりまだまだ超デブなのだったが。

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