もっと凄い人がいる。1996年のこと、ニューヨークの自宅で暮らしていた体重およそ500キロの男性が呼吸困難になり、病院に担ぎ込まれた。けれど家を出るときドアから出られずレスキュー隊がドアの周辺をガンガン壊してフォークリフト(!)でやっと病院まで移送することができたのである。

 体重0.5トンの男だ。幸いこの人は命はとりとめ、その後何度かダイエットとリバウンドを繰り返しながら今は(いくらか体重軽減し)生存している。

 この本はこうした驚愕のエピソードから、このアメリカの、まあはっきり言えば異常なるデブ化社会の実態をわかりやすく書いている。

 ところで、冒頭からしきりにぼくは「デブ、デブ」と書いているが、この本を読むとアメリカではデブがあまりにも多いので、デブは差別語でもなんでもない、と書いてあるのだ。この本の著者は日本の大手出版社、新潮社で雑誌編集にたずさわり、渡米してアメリカ発のレポートをいっぱい書いている。いわば第一線のジャーナリストであり、日本の女性であるから、アメリカにいくと日本人なら誰でも驚く「驚異の肥満国」に、これはいったい何なんだ? の素朴な疑問を、わかりすい視点とその文章で追求している。

 アメリカの疾病対策予防センターの報告によると、アメリカ人の3分の1以上が肥満状態という。数にしておよそ7200万人。また公衆衛生総監室によれば肥満が原因で死亡する人が年間およそ30万人という。これはもう本当に「まとも」じゃない。

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