「今日、世界では一六億人以上が肥満とされ、二億三〇〇〇万人をゆうに超える人々が糖尿病を患い、一五億人以上が高血圧症だという。一九五〇年代に、肥満と言われる人々は一億人以下で、そのうち糖尿病と高血圧症の患者数は二〇分の一だった。この半世紀のあいだ、どう食べ、飲み、動くかに急激かつ広範な変化が起きた。われわれは肥満の世界に住んでいる。それは数千年に及ぶ進化の産物である人間のからだが、こうした変化についていくことができないからである」(『あなたは、なぜ太ってしまうのか?』)

 先のOECDのデータにあるように世界の肥満度ランキングで日本は主要36カ国で最下位、つまり一番肥満度か少なかった。

 ここに平成20年版の食育白書のデータがある。各県別による肥満度のランキングである。1位はダントツに沖縄だった。これは男女とも同じ。他の県はいわゆるドングリの背くらべ。

 沖縄にいくとたしかに太っている人を見る率が高い。その理由はいろいろ言われているが、この県にもっとも早くアメリカ発の加工食品やファストフードが到達したのは確かである。北極圏の変化と同じようなものがここで進展していったのではないだろうか。沖縄にすむ人々はアメリカの基地やオスプレイなどと一緒に、えらく迷惑なアメリカ病にさらされてきたのかもしれない。

 かつての長寿県1位の「沖縄」の男女あわせたランクはいまやどんどんさがってしまっている。アメリカ発のファストフードや濃厚加工食品がどんどんスーパーに溢れている現在、本土も急速に沖縄のそれに近づいている、と見ていいんじゃないだろうか。

つづく

椎名誠(しいな まこと)

1944年、東京生まれ。作家。『本の雑誌』初代編集長、写真家、映画監督としても活躍。『犬の系譜』で吉川英治文学新人賞、『アド・バード』で日本SF大賞を受賞。近著の『わしらは怪しい雑魚釣り隊 エピソード3 マグロなんかが釣れちゃった篇』(マガジン・マガジン)、『そらをみてますないてます』(文藝春秋)、『足のカカトをかじるイヌ』(本の雑誌社)、『どーしてこんなにうまいんだあ!』(マキノ出版)、『ガス燈酒場によろしく』(文藝春秋)ほか、著書多数。公式インターネットミュージアム「椎名誠 旅する文学館」はhttp://www.shiina-tabi-bungakukan.com/

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