第12回 肥満という名の快楽

 まず量のほうだが1970年、アメリカ人は1人あたり年間679キロを食べていたが2000年には805キロに増えている。増えた食物で一番多いのは穀物だが、ここでいう穀物とは小麦粉からとれるパスタやトルテーヤ、ハンバーガーのパンの部分などの(加工穀物)で肥満素材としては精製された白砂糖と殆ど変わらない。野菜も30年の間にだいぶ食べるようになったがそれのうちの多くは栄養価の乏しいレタスや、やはり太るポテトチップスやフライドポテトだ。

 簡単にいうとアメリカ人は、とにかく太る食物を沢山食べるようになった、というなんとも「処置なし」の状態になっているわけで、世界一の肥満国家への構図は呆れるくらい単純なのだった。

 さきの『アメリカン・スーパー・ダイエット』の500キロ男の朝の普通の食事は、500グラムのベーコンに卵12個ぶんのスクランブルエッグ。夕食はポークチョップだったら22個から24個、それにマッシュポテト500グラム。マクドナルドでの通常オーダーはビッグマックが6個から8個、ラージサイズのフライドポテトが4袋、チキンナゲット3箱、アップルパイ6個。飲み物は毎日コーラの2リットルボトル8本がアベレージだった――という。むかし絵本で読んだ動物園の何かの巨大動物が1日に食べるもの、なんていうような話を思いだした。