第25話 なんたって冬は、ビタミン不足が問題である

 ジャ~ンとばかりに、両手に持っているものを高くあげて見せてくれたのは、2羽の野鳥。

「スティーブに銃の撃ち方を教えてもらって、私が撃ったのよ」
 と、彼女は嬉しそうに言った。 

「え、これってもしかして、グラウス?」
「そうだよ!」
 彼女はまた満面の笑みで微笑んだ。

「下の林にいた鳥たち?」
「そうよ!」

 私はショックだった……。

 それは、湖までの坂道を下りていく途中にある美しいアスペンの林のなかで、いつも低く飛びまわっていた、つがいのグラウス(ライチョウ種)だったのである。

 仲良さそうに飛び回っている姿が、まるで、おとぎの国に来たような気分にさせてくれていたのに……。

「あの子たちを撃ったの?」
「そうよ。うふふ」

 あぁぁぁ~、私は頭を抱えた。

つづく

廣川まさき

廣川まさき(ひろかわ まさき)

ノンフィクションライター。1972年富山県生まれ。岐阜女子大学卒。2003年、アラスカ・ユーコン川約1500キロを単独カヌーで下り、その旅を記録した著書『ウーマンアローン』で2004年第2回開高健ノンフィクション賞を受賞。近著は『私の名はナルヴァルック』(集英社)。Webナショジオでのこれまでの連載は「今日も牧場にすったもんだの風が吹く」公式サイトhttp://web.hirokawamasaki.com/