――「アラブの春」を迎えた他の国々と「リビアの春」には違いがありますか。

 チュニジアでは、ジャスミン革命後も一部で騒乱が続いていますし、シリアでは反体制派が弾圧を受けて多くの死者を出しました。

 アラブの春がきっかけで、部族間対立や宗派間の対立が激化している国もあります。「リビアの春」では、そうした国内での対立に発展しなかったことがひとつの特徴といえるかもしれません。

 もともと部族間の対立がほとんどない国で、革命中の反体制派も、インターネットなどで情報を綿密に交換し、結束して行動していましたから。

――7月に帰国したときの、一般的な庶民の感触はどうだったのですか。

 革命ムードはもう終わっています。自分たちの生活がどうなるのかに関心が向いています。給料は上がるのか、経済はどうなるということが気になるのに、まだ治安の話をしているのかという、政府に対する苛立ちも感じますね。

 しかし、もう少し今の政府を見守っていく我慢強さがリビアの国民には必要です。広い視野を持って国づくりに臨めるか。これからがリビア人にとって正念場だと思います。

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おわり

アーデル・スレイマン

1987年、東京生まれ。リビア人の父親と日本人の母親をもち、国籍はリビア。6歳から19歳までリビアで暮らし、2006年にふたたび来日する。日本では通信社などの仕事を経て、現在は慶應義塾大学に在学中。


高橋盛男(たかはし もりお)

1957年、新潟県生まれ。フリーランスライター。自動車専門誌の編集を手がけたのちフリーライターに。JR東日本新幹線車内誌「トランヴェール」、プレジデント社「プレジデント」「プレジデントファミリー」などに執筆。

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