――少し話題を変えますが、リビアについてもそうですが、多くの日本人はイスラム教についてもよく知りません。日本人の誤解を感じることがあると思いますが、それはどのようなケースですか。
僕は国籍がリビアで、イスラム教徒。よくハーフといわれますが、僕は「ハーフじゃない。ダブルだよ」と言っています(笑)。
20代30代では、リビアがどこにあるのかも知らない人が多いですよ。
日本人と話していて、違和感を覚えるのは、イスラエルという国名です。僕らアラブ系の人間にとって、あの国はパレスチナ、アラブ人の国です。そういうときに、立場によってこんなに見方が違うのかと思います。
イスラム教に関しても、たとえば「ジハード」という言葉の解釈に誤解があります。
――「聖戦」と訳されますね。
でも「ジハード」と「聖戦」はイコールではないんですよ。
アラビア語の辞書を引くと「ジハード」は「努力」となっています。宗教上の用語でも「命も地位もお金も惜しまずに、最大限できる努力」を意味します。
ですから、その努力が「戦い」だと思えば、それも「ジハード」になるわけで、そのロジックを反欧米勢力やテロリストが利用しているわけです。さらに、欧米のメディアが「ジハード=聖戦」としているために、本来の意味が3重に捻じ曲げられている。つまり「ジハード=聖戦」は、メディアがつくり上げた誤った理解なんですよ。