――反政府活動を摘発する、秘密警察のような組織があったとも聞きましたが。
本当に秘密警察があるんだと知ったのも、高校時代です。今は「殉教者広場」と呼ばれているかつての「緑の広場」。そこはトリポリで一番大きい広場で、カダフィの自画像がたくさん置いてありました。
僕は仲間と何気なく広場を眺めていたのですが、バケツを持った老人が1人出てきて、カダフィの自画像に赤ペンキで「×」をつけはじめたんです。ものの数秒で、どこかから車が飛んできて、彼を押し込んで消えてしまいました。
――それも恐ろしい話ですね。政府への批判はすべてだめだったのですか。
政府の政策は、猫の目のようにコロコロ変わるのですが、そういうときに「(カダフィは)朝食が気に入らなかったのかね」と言い合ったりはしていましたよ(笑)。
――でも、どこまでがセーフで、どこからがアウトかがわからないわけですよね。