第2回 体罰よりも強い恐怖を感じた瞬間

 配給制度があって、油、小麦、塩などの生活必需品は、配給ノートを持って最寄りの配給センターで受け取っていました。冷蔵庫とかテレビといった耐久消費財は、年に1度の抽選で支給されます。

 皆が等しく貧しいという感じでした。豪邸に住んでいたり、外国車を乗り回している人もいたけれど、それは特殊な人たち。政府高官か、何か怪しげな商売をしている人です。

 その一握りの人たちとの生活の差は、ものすごく大きかったけれど、庶民の間では生活に格差はありませんでしたね。近所づきあいは「三丁目の夕日」のような感じでした。

――互いに声をかけ合い、支えあうような関係ですね。

 ただ、そのご近所の範囲が、ものすごく広いんですよ。日本でご近所というと、広くても町会くらいの範囲でしょう。

 向こうでは、遠い町外れまでが「地元」で、みんな知り合いなんです。知り合いの知り合いはご近所、その知り合いもご近所みたいな感覚。そんなに遠くまで「地元」と呼んでいいのか、というくらい広い(笑)。

 コミュニティ意識は強いですね。トリポリのような都市でも。気さくで皆が温かい。ただ、公に政治の話をすることはありません。

――それは、危険だから?