特別編 渡辺佑基「ペンギンカメラでついに大発見!」

 1回の潜水中に捕獲したオキアミの数を集計すると、ほとんどの潜水は獲物が10匹以下の「小アタリ」なのだが、ごくまれに40~50匹ものオキアミがとれる「大アタリ」が混じることがわかった。オキアミは海中で群れを成すので、ペンギンがうまくその群れに遭遇できたときにだけ「大アタリ」が出るのである。統計的には「べき乗分布」と呼ばれる分布モデルでオキアミ獲得数をうまく表すことができた。この分布の特徴は、ばらつきが大きすぎて平均値や代表値では全体像を表せない点にある。ペンギンがエサをたくさん集められたかどうかは、平均的な潜水ではなく、まれに起こる「大アタリ」の回数によって決まることを意味している。ペンギンにとってオキアミは当たり外れの大きい、予測の難しいエサだといえる。

 それに対してボウズハゲギスは、1回の潜水中に捕えた数のばらつきが少なく、安定したエサ資源であることがわかった。ただしこの魚に居場所を提供する海氷は、年によって張り出し具合が大きく変化する。そうした環境の変化はボウズハゲギスの分布をとおしてアデリーペンギンの生存率にも影響を与えるかもしれない。今後、ペンギンの調査を長期間にわたって継続することでペンギンと環境との関わりをよりよく理解したいと思う。

オキアミを捕える潜水(A)とボウズハゲギスを捕える潜水(B)のデータ。グラフの横軸の「シグナル」と「エサ取り」のマークが同じ位置にあることに注目。すなわち、頭の加速度から検出したシグナルはビデオで確認したエサ取りのタイミングとよく一致した。(画像提供:渡辺佑基)(写真クリックで拡大)