特別編 渡辺佑基「ペンギンカメラでついに大発見!」

 たとえば最も直接的な方法として、動物の背中にビデオカメラをとりつけ、動物の視点からエサ取りを観察するやりかたが試されてきた。代表例はナショナル ジオグラフィックの開発した動物用ビデオカメラ「クリッターカム」だろう。この小型かつ防水の特殊なビデオカメラはアザラシ、ペンギン、ウミガメなど、いろいろな海洋動物にとりつけられ、エサ取りのシーンを数多く映像に収めてきた。しかし問題は記録時間が短いことである。ビデオカメラは消費電力、消費メモリーともに大きいため、動物につけられるくらいまで小型化すると、記録時間はたった数時間になってしまう。

 あるいは別の方法として、エサ取りのタイミングに合わせて変動する間接的なパラメータを記録するやりかたが試されてきた。たとえば口でエサを捕える動物は、エサ取りの瞬間に頭が激しく動くので、頭の動きを記録すればエサを取ったタイミングを推し測ることができる。あるいは体温の温かいペンギンやアザラシが体温の冷たい魚などのエサを飲みこむとき、胃の中の温度が一時的に下がるので、胃の温度を連続的に記録すればエサを取ったタイミングを推定できる。この場合データは比較的シンプルであり、ビデオと違って長時間記録できるのが最大の強みである。しかし問題は、間接的なシグナルが本当にエサ取りに対応しているのか確認できないことである。頭の動きのシグナルは、ひょっとしたら何かを探して首を振っただけかもしれない。胃の温度が下がるシグナルは、もしかしたら水を飲み込んだだけかもしれない。

 そこで今回の研究では、直接的な証拠になる短時間のビデオ映像と、間接的なシグナルになる長時間の頭の動きの両方をアデリーペンギンから記録した。まず、映像記録からペンギンのエサ取りを観察する。次に、映像で確認したエサ取りのタイミングを、同時に記録した頭の動きと照らし合わせ、頭の動きがエサ取りの正しいシグナルであることを確認する。そして最後に、長時間にわたる頭の動きのデータ全体からエサ取りのシグナルを検出する。一目瞭然だけど短時間しかもたないビデオカメラと、長時間もつけれど間接的でしかない行動記録計を、互いの短所を補うかたちで機能させた。