リスク・テイカー 危険覚悟の挑戦者

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危機を地図にする男

パトリック・マイヤー

文=パット・ウォルターズ 写真=マルコ・グロブ

パトリック・マイヤーは米タフツ大学で博士号の取得を目指す35歳。2010年1月にハイチで大地震が起きたとき、彼はマサチューセッツ州の自宅を離れることなく、被災者支援に乗り出した。まず、数百人のボランティアに呼びかけて、被災状況をツイッターやメールで収集し、地図に落とし込んで、インターネット上で公開したのだ。地図は市民や救援隊員などに利用され、多くの人命を救うのに役立ったという。スイス国籍でアフリカ育ちのマイヤーは、国境を越えて世界中の危機を地図にする。

――ハイチ地震の後、国連から厳しく非難されたそうですね。なぜですか?

国連の関係者が被害状況の把握にもたついている間に、私たちがほとんどリアルタイムで被災状況の地図を作り、広く活用されたからです。

――地図作りに関心をもったきっかけは?

12歳の時に勃発した湾岸戦争です。そのとき、私は中東の大きな地図に、クレヨンやペンなどを使って、戦局の最新情報を書き込んでいきました。

――これまでに地図にして公開した危機を教えてください。

ハイチがすべての始まりです。同年、チリの地震とパキスタンの水害、ロシアの森林火災を地図にしました。翌年に起きた豪州ブリスベーンの洪水やニュージーランドの地震にも取り組みました。エジプトとチュニジアでは、選挙に関連した騒乱が対象でした。そして、リビア危機を地図にするよう、国連から依頼されたのです。

――紛争地帯の地図がよからぬ勢力に利用される恐れもありますね。

そうですね。リビアの場合、私たちの地図を国連が救援活動に使うこともできれば、カダフィ派が支援物資の輸送を妨害するために利用することもできました。ですから、地図にはパスワードを設定して保護しました。こうした地図には、人命を左右するほどの大きなリスクが伴います。ですから、細心の注意が必要となります。

――リスクが高すぎて地図を作れなかったという経験はありますか?

シリアです。リビアと違って、シリア政府は徹底的にインターネットを監視しています。リスクが高すぎると判断し、私たちは地図を作らないことにしました。

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