第10回 海を守る法律と、国際的な取り組み

©Image Courtesy of Sylvia Earle archives(写真クリックで拡大)

 1週間の会議期間中に供された心づくしのメキシコ料理には、海の生き物を一切使わなかった――出席者の反応は、仰天したり喜んだりとさまざまだったが。海の生き物をどうやって保護するかを話し合っているテーブルに、その当の生き物たちは一匹も出席していないのに、料理されたものだけが出てくるというのは、いささかおかしな気がしたのだ。

 DOE会議では、壊滅的な衰退に向かいつつある海洋システムを安定させ、傾向を逆転させるための国際的な行動計画の策定を目指した。各地域レベルで行動計画を適用する際に役立つようにと、南太平洋、パタゴニア大陸棚、熱帯太平洋のコーラルトライアングル、カリフォルニア湾、カリブ海などがモデル海域として選定された。

 管理や漁業、海洋利用計画、探査、科学技術といった論点のほとんどを、どの海域よりもはっきり浮かび上がらせたのは広域カリブ海と呼ばれる一帯だった。この一帯は地理的には広くないものの、大西洋に見られる生物多様性の中核部分をすっぽり包み込んでおり、社会政治的な複雑さも突出している。その環境は何千年も前から人間活動の圧力によって変容してきた。

 ヨーロッパの探険家がカリブ海にやってきた15世紀後半には、マナティやモンクアザラシ、カメなどの大型動物はすでに猟の影響で減少していた。さらに、ヨーロッパやアフリカ、北米から移住してきた人々が、クジラやカメ、巻貝、ロブスター、各種の魚を捕獲するようになった。