第10回 海を守る法律と、国際的な取り組み

 ストロングの長年にわたる「変化への貢献」を祝いに集まった人々は、1972年の時点では、科学的な解明が進むのを待つ時間も、自然界への圧力に関する問題を解決する時間もまだあると思えたと振り返った。だが、92年のリオ会議のときには、行動を急ごうという切迫感が高まっており、2002年のヨハネスブルク会議のころとなると深刻な懸念が広がっていた。

 そして今、ストロングは「もう時間がない。何をすべきかはわかっている。今こそ行動を起こさなければ」と訴える。その一言一句に、80年の豊かな人生経験が重みを与えていた。

海洋の喪失への挑戦

 2000年、非営利の環境保護団体コンサベーション・インターナショナルが、「自然の喪失への挑戦(Defying Nature's End: DNE)」という会議を開催した。その結果、世界的な生物多様性の損失を食い止めるための行動計画が策定され、きわめて大きな影響力を発揮している。ただし沿岸域や海洋の問題については、検討されたものの提言や実施は陸地に焦点が絞られていた。

 私は、これに匹敵する影響力をもつ会議を海に関しても開きたいと考えた。そこで、インテル社の共同設立者で環境保護活動家のゴードン・ムーアに計画を持ちかけたところ、ムーアの財団が海洋の現状改善策を話し合う会議の開催と、その準備のための1年間のデータ収集活動を支援することに同意してくれた。そして、2003年5月、メキシコのロスカボスに70の団体と20カ国からの科学者や政策担当者、教育者、経済学者、財界指導者など150名が集まり、「海洋の喪失への挑戦(Defying Ocean's End: DOE)」と題した会議が実現した。