第7話(最終話) 新たな「愛と青春の旅立ち」へ

その1  ワタクシのセンチメンタル・ジャーニー

また一つの理由はこの連載のせいかも知れません。今までは、研究に対して一生懸命全力疾走している感じで、研究に直接関わらない催しや旅程には脇目を振らず、なるべく時間と労力を節約しようという意識があったような気がします。この連載を書いているうちに、自分のこれまで歩んできた道程を振り返ることが多々あり、いつの間にか気付かず遠く過ぎ去ってしまった自分の「青春みたいなモノ」が、とても懐かしく愛おしく思えてくるようになりました。

そしてこの旅で、留学時代の師であるジョン(・バロス)に会って、さらにもう一つの理由みたいなモノに気付きました。

多分ワタクシは、「世話になった師から声をかけてもらうまでは、自分からはノコノコ戻りたくない」みたいな想いをどこか心の片隅に抱いていたんだなと。ある意味「故郷に錦を飾るまではけっして・・・」的な想いでしょうか。自分がそんな昭和初期的な古めかしい感覚を持ち合わせていたことには軽くショックを受けましたが、なんとなくそんな気がしました。

つまり、ワタクシの最近のセンチメンタル・ジャーニーは、「もういいよ。そろそろ帰っていいよ」と自分にOKを出した結果なのかもしれないと気付きました。

このシアトルのユニバーシティー地区の街を50mも歩けば、ワタクシの心は18年前の自分にタイムトリップしました。街並や立ち並ぶ店や建物はほとんど変わっておらず、道行く若者達の様子も当時とそんなに変わりません。ハイティーンから20代の若者の街です。変わったのは、通り過ぎる東洋人のほとんどがあの当時は日本人だったのに、今は中国人になっていることぐらいでしょうか。