最後のポーテッジを終え、カヤックに荷物を詰め込んで、ふたたび湖面へと漕ぎだしました。

 この先にポーテッジはないので、もうムース湖に到着したとばかり思っていたのですが、正確には、ここはまだサッカー湖(Sucker=ヌメリゴイ)でした。

 ここから南西に向かって12キロほど細長く伸びた湖面は、途中で2カ所、両岸が狭まったところで呼び名が変わり、サッカー湖、ニューファウンド湖、ムース湖と続くのです。

 いまいちど気を引き締め直し、ムース湖に向けて漕ぎだすと、まず西から突き出た岬を南東に回り込むようにして、細い水路を進みました。

 岬を抜け、南西に進路を変えて、1キロほど進んだ、そのときです。

 ふと、視線の向こうに横たわる森のシルエットから、ひときわ大きな松の木が突き出ているのが見えました。

 <あれは……いったいなんだろう?>

抱えても、両腕が届かないほど太い幹を持つレッド・パインの巨木。新旧の樹皮が織りなす模様に目を奪われた。(写真クリックで拡大)

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