第5章 1956- 第二期黄金時代からさらなる挑戦へ

第8回 “美人すぎる”類人猿研究者の衝撃

ジェーン・グドールが表紙を飾った1965年12月号(写真クリックで拡大)

 チンパンジーと人間を比べたときに、遺伝子が1%強しか違わないなど、いまはどちらかというと類似性のほうに注目が集っています。言葉を教えたり、iPadを与えたりする研究なんかもありますしね。

 でも、グドールが研究を始めた当時は逆でした。チンパンジーと人間はまったく別の生きものと考えられていて、とりわけ、両者を区別する定義のひとつに「道具を使う」ことがありました。もちろん人間の定義として。

 それなのに、チンパンジーが道具を使っていることがわかったからさあ大変! 

 研究を開始した1960年に、グドールからその発見を知らされたリーキーの言葉「こうなると“道具”や“人間”の定義を一からやり直す必要がある。さもなければチンパンジーを人間として認めるほかない」がその意味の大きさをよく表しています。これは歴史に残る一文となりました。

 さらにグドールは研究を続け、チンパンジーが肉食であることをはじめ、戦争をしたり、子殺しをしたり、しまいには共食いまでしたりすることなどを発見します。グドール以前、チンパンジーは平和な草食動物と考えられていましたが、次第に人間との共通点が明らかになるとともに、ときにはひどく暴力的になるという発見はとても衝撃的でした。