第5章 1956- 第二期黄金時代からさらなる挑戦へ
第8回 “美人すぎる”類人猿研究者の衝撃
ジェーン・グドールは1934年にロンドンで生まれました。8歳のときに読んだドリトル先生やターザンのように、アフリカで動物と暮らすことを夢に見ていただけで、科学者になりたいと思ったことは一度もありませんでした。
たまたま縁があってルイス・リーキーに抜擢されたときも、大学は卒業しておらず、研究のけの字も知らないズブの素人。それなのに次々と大発見を積み重ねます。
素人すぎるのに、すごすぎる。このミスマッチも魅力ですよね。
でも、素人すぎたことこそ彼女の強みでした。
それまで、科学の世界では動物を個別に扱うことはせず、個体差のないものというとらえ方が当たり前でした。そのため、動物には番号をつけて識別していました。
一方、グドールは動物には心や感情のあるものとみていました。ドリトル先生やターザンが交流したように。彼女は出会ったチンパンジーに名前をつけ、個性ある存在として、日々起こる微妙で複雑な関係や行動を長期にわたり記録し続けます。それがよかったのです。
結果として、彼女が目をみはる発見を重ねたのは先に書いたとおり。
なかでも、チンパンジーが巣穴に長い葉っぱを差し込んでシロアリを取ること、すなわち、道具を使うことは初期の一大発見でした。
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