第5回 ふたたび開かれた宇宙への扉

 なんだか聞いていると楽しくなってくる。

 もちろんこれを聞いて「いい加減」と感じる人もいるかもしれないのだが、ぼくは「自分の頭と手の先にある健全な技術開発」のように思うのだ。

 さて、2012年5月22日、ドラゴン宇宙船は国際宇宙ステーションに補給物資や実験装置などおよそ520kgを運び、民間の実用宇宙船としてはじめて使用された。さらに、同年10月18日にはデモンストレーションではなく、「お金をもらってやる」純粋に商業的な補給サービスとして補給物資・実験装置を運び、宇宙ステーションでの実験成果物や関連機器を地上に持ち帰った。今後、少なくとも11回の補給物資ミッションを予定している(2012年12月時点)。

 高橋さんは、最初のドッキングの直後、2012年6月にスペースX社を退社。わずか1年4カ月の経験だったが、とにもかくにも自分が関わった宇宙船を無事に宇宙に送り届けることに成功した。そして、現在はサンフランシスコで、別の宇宙ベンチャーで働いている。友人が創業した会社で、ドラゴン宇宙船のミッションを見届けてから次へ移ろうと思っていたのだそうだ。

 実はスペースX社では、宇宙飛行士を国際宇宙ステーションに届ける輸送サービスの開始も3年以内の計画で動いている。NASAや各国の宇宙飛行士を国際宇宙ステーションに届ける前に、有人飛行が安全であることを確かめなければならない。実際のサービス提供前には、自社で安全確認を行う。つまり、自社の宇宙飛行士が安全確認飛行として宇宙に行く。おそらく世界ではじめて民間商業プロ宇宙飛行士が誕生する。これまでも「お客さん」としてなら宇宙に行くことはできたわけだが、かなり概念が違う存在になる。高橋さんもスペースX社に残れば、その可能性もあったのではないだろうか。高橋さんの宇宙飛行士の夢へのステップはどのように続くのだろう。