第5回 ふたたび開かれた宇宙への扉

 高橋さんの部署以外にも、ロケット自体を作る部署、打ち上げの準備をする部署、宇宙空間での熱関係のことをケアするサーマルと呼ばれる部署など様々なチームがあり、「1つ屋根の下」でドラゴン宇宙船のミッション成功のために日々、努力していたそうだ。

 実はぼく自身、高橋さんに会った後で、ロスアンジェルスの空港から数キロの距離にあるスペースX社を訪ね、少しだけ見学させてもらった。ボーイング社が使っていた航空機工場の建物をそのまま使った巨大な空間にまず圧倒された。ロケットエンジンや機体、宇宙船まで一貫して同じ建物の中でつくり、さらには会社の事務系の職場も同じ場所、というオールインワンぶりで、一体感と熱気のある会社だった。なにしろ、宇宙船の管制に使うミッションコントロールまで社員用カフェテリアの隣にある! 天井からははじめて宇宙に行ったドラゴン宇宙船がぶらさがり、わずか数10メートル先には、次回か次々回の打ち上げに使うエンジンがごろりと置いてあるという状態。これはNASAが各企業に細かく発注を分け、最後に統合するスタイルでは絶対にあり得ない宇宙ロケット・宇宙船の現場だった。

 高橋さんは入社以後1年以上かけて練り上げた「国際宇宙ステーションとドッキングできる」仕様のドラゴン宇宙船の打ち上げを、ガラスで仕切られたミッションコントロールの外側で見守った。

2012年5月の打ち上げは夜に行われた。(c)NASA/Rick Wetherington and Tim Powers
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