第3回 ビッグバンはどうやって始まったのかを探しに

 ただ、くせ者は「Bモード」。ぼくははじめて知ったのだが、偏光のパターンにEモードとBモードの2種類があるのだという。電磁波の電場と磁場に対応するもので、Eは電場、Bは磁場を意味する。Bモードは、重力波など特殊な起源がないと発生しないもの、といったくらいの理解で留めておく。

「もし、本当にインフレーションがかつて起こったのだとしたら、宇宙が急膨張する際に、重力波が放たれていたはずなんです。原始重力波と呼ばれます。とすると、宇宙の背景輻射の中にBモード偏光が残っているはず。それが観測できたら、インフレーションによる重力波の影響だということになって、インフレーション理論の直接証拠になると考えられているんです」

 このあたりを深く追究していくと今回の主題からはだんだん遠くなってしまう。現在も観測や理論構築が続いている宇宙論の最前線の議論になるので、ここでは「そのようなものなのだ」と納得して先に進む。興味ある方は、ぜひご自分で調べてみて欲しい。

 なにはともあれ、そういうことで、高橋さんたちの望遠鏡BICEPは、「宇宙背景輻射(ミリ波)のBモード偏光」を観測するように設計されている。目で見てはっきりと分かる透明な光学レンズではなく、ミリ波専用に設計されたものだ。宇宙から来たミリ波を捉えて鏡胴内に導くのだが、その入り口の部分は人間の目には(つまり可視光としては)白い。しかし、ミリ波に対してはほとんど素通し、つまり「透明」なのだそうだ。そして、鏡胴内の検出器にミリ波を導く。

BICEPと同じ技術と素材を用いて作られた望遠鏡の真空窓。白い部分がミリ波の入口だ。
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