第3回 ビッグバンはどうやって始まったのかを探しに

 高橋さんが南極に設置した望遠鏡BICEP(バイセップ)は、宇宙の起源を探るものだった。宇宙開闢(かいびゃく)のビッグバン自体がどのように始まったのか、というのが興味の焦点。とりわけ、宇宙開闢直後に起きたかもしれない宇宙の急膨張(インフレーション)の直接証拠を探すというのが最大の目的だった。

 宇宙論におけるインフレーションについて解説するのは、正直、ぼくの手には余る。ただ、最低限の理解として、今、おおむね受け入れられているビッグバン宇宙論の問題点を解決してくれる考え方、といってよい。しかし、観測による裏付けは決定的な水準には達していない。だから、インフレーション宇宙論にも様々な種類があるし、インフレーションを前提としない宇宙論もある。

 では、高橋さんはどのように「インフレーションの証拠」を探そうとしたか。これまで望遠鏡と書いてきたので、可視光線でみる天体望遠鏡をイメージしていた人も多いと思うのだが、実際はミリ波と呼ばれる電磁波を見る望遠鏡だ。電子レンジでチンする時に使われている電磁波だというと通りがよいか。

建物内部。3軸のマウントに望遠鏡が乗っている。(写真提供:高橋有希)
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2013年1月号特集「果てなき宇宙への夢」
本誌では民間企業が参加する新次元の宇宙開発についてレポートしています。フォトギャラリーもあるWebでの記事の紹介はこちら。ぜひあわせてご覧ください。